医療人百科

INTERVIEW

「勇気」とは「怖さ」を知ること

吉田 徳

医療法人社団健徳会 吉田医院 院長 吉田 徳

略歴

獨協医科大学医学部卒業。卒業後同大整形外科医局入局。研修後、小山市民病院(現・新小山市民病院)、獨協医科大学救命救急センターを経て高根沢中央病院勤務。平成29年より父の診療所を継承し、院長となる。

現在の仕事についた経緯は?

子どものころ、映画監督か板前になりたかったのですが、3歳上の兄が歯学部進学を決め、父の診療所(内科)を継承しないといけないなと思い、医学部へ進学しました。卒後整形外科に入局したのは大学時代お世話になった硬式テニス部の先輩に誘われたからです。整形外科入局後、いずれは地元に帰り、診療所を継承することを考えると内科の視点も必要と考え、救命救急センターや地方病院で内科と兼務しました。整形外科の診療ができる内科の町医者でやっていこうとは大学病院在籍時には話していなかったので、出来の悪い研修医と思われていたと思います。

仕事へのこだわり

私のような町医者に最も大事なことは、診たてはもちろんですが「話しやすさ」だと思っています。「あの先生は話しにくくて」、「怖いから話せない」、これはあってはならないことです。地域で診療する以上、来院する患者さんのよろず相談所でなければいけないと思っています。それは老若男女関係ありません。「先生だから話すんだけど・・・」「ちょっと聞きたいのだけど・・・」と言っていただけるような外来を心がけています。不安をくみ取ることも町医者の役割です。また、患者さんが診療後に診察室から出る際に「あ、言い忘れてたけど・・・こんなことがあるのですが」という質問(ドアノブクエスチョン)は丁寧に拾い上げるようにしています。良い人生という価値観は人それぞれですが、患者さんがどのようなニーズで来院されているかを知ることは話しやすい外来でなければできないと思います。

そう思えるようになったきっかけ

大きな病院で仕事をしていた時に、遅くまで看護師さんが記録を書いており、その記録を見たときに患者さんの病歴はもちろんですが、生活習慣・家族構成・趣味などがこと細かに書いてあり衝撃を受けました。自分は、聞けていない。そもそも患者さんが心を開いて話してくれていないことに気がつきました。外来が忙しい、病棟回診が忙しいと言いながら、医師と言う鎧を纏って接していたのです。話しやすい外来は、正しい診たてにつながると思っています。また、帰り際のドアノブクエスチョンこそが実は一番知りたい質問であることが多いことから丁寧に拾い上げるようにしています。

今後の目標

今後の目標: 父が診療所を立ち上げて40年を超えました。飲食店で言ったら立派な町の老舗です。親子3代で来院されるご家族もいらっしゃいます。「あそこに行けば、安心だよ」「あそこならちゃんと診たてて、必要なら専門家に紹介してくれるよ」と言っていただけるよう、常連の患者さんを大事にしつつ、新規の患者さんも変わらず受け入れられる、街角の老舗蕎麦屋の2代目としての感覚を忘れないようにしたいと思います。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。