医療人百科

INTERVIEW

愚直に歩み続ける

奥謙太郎

あざみ野ヒルズスキンクリニック 理事長 奥謙太郎

略歴

福島県立医科大学卒業。大学病院や関連病院で皮膚科研修後、皮膚科/美容皮膚科クリニック院長を歴任。2015年4月あざみ野ヒルズスキンクリニック開院。2018年4月医療法人光悠会を設立し、理事長に就任。安全で効果の高い美容医療を提供すべく、最新技術や最新レーザーに関する学術・臨床考察を行い治療プログラムを作成。作成した治療プログラムは、美容医療関連学会やシンポジウムで取り上げられ、多くの医師に知識・技術が共有されている。また、2019年度よりレーザー最大手CynoSure社のAdvisory board Memberに日本人で唯一任命。国際学会講演、医師へのトレーニングを精力的に行うと共に、次期レーザーの開発にも携わっている。

現在の仕事についた経緯は?

10代の頃、重度のニキビや慢性湿疹といった肌トラブルにいつも悩まされていました。背中や腹部など他人から見えない部分であればまだよかったのですが、顔全体に広がった皮疹は如何ともしがたく、その症状はもとより、肌にトラブルを抱えること自体がいかに大きなストレスになるかということを経験してきました。このような状況を変えたいと医学を志しましたが、医師として診療を始めてからは多くの方に有効とされる治療であっても、なかなか効果を出せない方が少なからずおられることにもどかしさを感じていました。そんな時に出会ったのがレーザー医学でした。その方の肌質に合わせて治療方法を個別に構築していくことで、今までは成しえなかった結果を出すことが出来る機器治療に大きな魅力を感じてから、ずっとこの道を進み続けています。

仕事へのこだわり

一言で「シミ」と言ってもその種類は非常に多く、その方の肌の代謝状態や体調などによって治療効果も大きく変わってきます。いかに優れた機器や手技を使っていたとしても、今向き合っているお肌の状態を正確に把握できなければ、それはあまり意味がないものになってしまいます。このため、今見えている肌の状態だけでなく、その方の生活習慣や考え方、スキンケアの方法といった細かい状況を含めて、現在のコンディションをしっかり把握し、その方に最も適した治療方法をプランニングしていくことが大切だと思っています。お一人お一人を診察・治療する時間は長くなりますが、「肌の診察は肌との対話の先にある」という考えは、診療をすればするほど強くなっていると感じています。
また、私が専門とする機器を用いた美容医療は日々の進歩が非常に早いだけでなく、その機器の背景にある理論をしっかり理解していなければ使いこなすことができないという特徴があります。このため、なぜこのような効果を出すことができるのか、狙った効果を発揮させるにはどのような工夫が必要になるのか等、基礎医学的なデータと臨床的なデータ、そして物理学的なデータを有機的に結び付けていく研究を続けています。
この二つに華やかさはありません。ですが、お一人お一人を診療させて頂く毎にお肌の反応と医学的データを、次につながる形として結び付け続けていくこと、これが診療の質の向上、治療結果の改善につながっていくと思っています。

そう思えるようになったきっかけ

日本の美容医療は医学の一分野として確立されつつありますが、現在は成長過程にあります。近年医学研究の数も増えてきていますが、この分野の成長の中心は西洋です。日本では良質な美容医療が提供されていながら、まだこれが医学的に十分に認知されておらず、多くの方に行き届いていないことを残念に思うことがありました。我々日本人の持つ丁寧さと緻密さが融合した美容医学を発展させることが出来れば美容医療を受ける方の満足度をさらに高められるのではないか、そう思ったことが一つの転機であったと思います。そこから始めた「目の前の肌と医学的データを結びつける」という研究は、一日一日で見れば非常に小さなものでしたが、継続していったことで大きな傾向が見え、今ではレーザー企業との連携による機器改良プロセスにつながっています。

今後の目標

機器を用いた美容医療は非常に奥が深く、ほんの少しの差が大きな結果の差として現れることを多く経験しています。これらの知識や経験を多くの医師と共有し、さらに洗練していく必要がありますが、とても日本だけで学びきることはできないと感じています。様々なタイプの肌に対してどのようなアプローチを取れば、安全で効果的な治療法を構築できるのか、これをアジア全体、また西洋諸国を含めた世界全体で考えていかねばなりません。日本の美容医療の良さを最大限に活かしながら、さらに多くの新たな技術や知識を取り入れていけるよう、機器治療のトレーナーとして、さらには日本と海外の架け橋として尽力できればと思っています。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。