医療人百科

INTERVIEW

禍を転じて福と為す

岩本 英熙

スワンレディースクリニック 産科医 岩本 英熙

略歴

早稲田大学政治経済学部卒業。長崎大学医学部卒業。同大学医学部附属病院産婦人科に入局。関西医科大学医学部附属病院(麻酔科/新生児科)、田附興風会北野病院、一佑会藤本病院(産婦人科部長)勤務を経て2019年6月に『スワンレディースクリニック(SWAN LADIES CLINIC)』を開院。

現在の仕事についた経緯は?

早稲田大学に在籍し就職活動に励んでいた頃、姉の出産に立ち会ったことがきっかけです。純粋に新しい生命の誕生に感動し、”出産ってなんて素晴らしいんだ、それをお手伝いできる産科医はなんて素晴らしい職業なんだ”と。それから一念発起して半年後に医学部の入学試験を受けました。早稲田の卒業試験も重なって大変でしたが、周囲の理解と協力のおかげでなんとか大学卒業と同時に医学部に入学できました。新しい命が生まれるのをサポートする仕事は本当に意義のある仕事だと思っています。
産科医になってからは、自らの医療技術を磨くことに全力で取り組みました。分娩は予期せぬ事態から妊婦さんの容態が急変することがあります。産科医の役目は、様々なリスクを予期して妊婦さんを安全にガイドすること、万が一急変した場合には最善の治療を躊躇なく行うことです。最高の分娩ガイドをするには、高度な医療技術が不可欠なのです。

仕事へのこだわり

「スワンレディースクリニックで出産してよかった」とすべての方に思っていただけるように全力で出産と向き合っています。出産は人生に数回、少ない人だと1回だけ。その方にとって出産体験が感動的なものになるように、人生の最高の思い出になるようにサポートさせていただきたいと強く思っています。不安を取り除いてあげられるように、クリニックに相談にきてよかったと思っていただけるように常に考えています。出産リスクに対する「不安」と陣痛の痛みに対する「不安」ばかりに気をとられるのではなく、楽しい未来をもっと思い描いていただけるようにしたいのです。もっともっとポジティブに出産をとらえていただければと思います。出産リスクに対する「不安」が先に立つのは、ご病気をお持ちの方と健康な方の出産のリスクを一緒くたに考える傾向があるためかもしれません。また、陣痛の痛みに対する「不安」は無痛分娩で解決できます。陣痛の痛みに不安がある人には無痛分娩をおすすめしています。

そう思えるようになったきっかけ

お産はとても幸せなもので、家族全員で楽しむライフイベントです。
日本では分娩のリスクばかりがマスコミでクローズアップされることが多く、不安がいっぱいで産婦人科を受診される方が多い印象です。確かに分娩前後に状況が急変することはありますが、全体からみればそれはほんのわずか。ほとんどの方は、皆さん無事に出産を終えるのです。新しい家族の誕生は人生で最も素晴らしい瞬間です。しかもその子の誕生の瞬間は一度しかありません。ぜひ家族で感動を共有していただきたいと思っています。立ち合い出産は家族の絆を強め、かけがえのない思い出となります。立ち合い出産には無痛分娩がおすすめです。
出産ではリスクコントロールが重要だと考えています。どういうことかというと、健康な方が登山をするリスクとご病気の方が登山をするリスクは全く違うということです。健康な方はご自身で登山する体力、ご自身で登山する足をお持ちですが、ご病気の方はそれを持っていません。ご病気の方の登山は命の危険を伴います。
同様に分娩も健康な方の出産とご病気をお持ちの方の出産は全くリスクが異なります。
スワンレディースクリニックでは、リスクコントロールをしっかりと行います。実際に、開院して1年余りですでに700人以上の方がスワンレディースクリニックでご出産されていますが、分娩中や分娩後の出血等による母体搬送や新生児仮死による新生児搬送は1件もありません。すべての方が元気に赤ちゃんを抱っこしてご退院されています。
出産にきていただいた方全員に「スワンで産んでよかった」と思っていただけるように全力で出産に向き合っています。

今後の目標

出産家族旅行のすばらしさをもっと広めていきたいと思っています。もっと多くの人に出産という感動を家族で共有していただきたい。そして、人生の大切な思い出にしていただきたいと思っています。スワンレディースクリニックの出産家族旅行という新しい提案に共感されるかたが増えており、東京23区全域はもちろんですが、横浜市やさいたま市からも出産に来られています。これだけ遠方から分娩に来ていただける分娩施設は、他にはあまりないのではないかと思います。そしてもう一つは産後ケアを充実させて、妊娠中から出産、出産後のサポートまでマタニティライフを一貫してサポートしていける体制を築いていきたいと考えています。産後うつに代表されるように、子育てを一人で悩まれている方が多くいらっしゃいます。その方々のお悩みを少しでも軽減すべく、関係各所と連携協力し、トータルでフォローアップできる体制を整えていきます。現在は東京都北区、渋谷区、板橋区、足立区の産後ケア施設に認定されていますが、もっと多くの自治体の協力を得たいと働き掛けています。

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