医療人百科

INTERVIEW

継続は力なり

小林 直人

あずま通りクリニック 院長 小林 直人

略歴

平成11年3月福島県立医科大学医学部卒。
同教室神経精神医学講座の助教、医局長、附属病院医療安全管理部副部長を経て、平成23年4月より現職。
福島県立医科大学臨床教授を兼任。

現在の仕事についた経緯は?

幼少期に近所の開業医の先生が困ったときにいつでも診察してくれて病気を治してくれたことに尊敬の念を抱きつつ、医師という仕事に憧れるようになりました。直接的なきっかけは中学生の頃に祖母が認知症になったことだと思います。非常にきちんとしていた祖母でしたが、病状が進むにつれてまったく別人になってしまったことを今でも鮮明に覚えています。そんな祖母の姿を見て、将来医師になって、同じように困っている患者さんを何とかしてあげたいという気持ちがより一層強くなりました。医師国家試験に無事合格し、医師になるきっかけになった「認知症」を担当する精神医学の分野で仕事をしていくことに決めました。

仕事へのこだわり

大学病院で長く勤務していましたが、医局では誰よりも早く出勤して、朝の時間を有効に利用することに心掛けました。教授回診の時は、教授の脇にぴったりとついて、担当以外の患者さんの治療方法や病態についても積極的に学ぶように努力しました。患者さんの病態は一人一人が全く違いますし、教科書には書いていないことを現場から沢山学ぶことができます。そういった観点から、時間の許す限り、できるだけ多くの患者さんを丁寧に診察し続けてきましたが、この積み重ねが今の自分を作り上げているものと確信しています。
 診療を行っていく上で一番大事なことは、患者さん、ご家族の安心を得ることではないかと思います。「この先生、気軽に相談できるな。来院してよかった。」と患者さん、ご家族から思ってもらえるような医師を目指し、常に謙虚な気持ちを忘れないように自分の言動を振り返るようにいています。クリニックでは、「優しさと信頼」という理念を掲げていますが、クリニック内で接遇改善研修会を定期的に開催して、スタッフ一人一人が患者さん目線で対応できるように努力しているところです。

そう思えるようになったきっかけ

自分の座右の銘は「継続は力なり」です。この言葉は、小学校時代のスキー部の恩師から卒業の時に自分に宛てて頂いた言葉です。部長として成績が振るわなかった自分でしたが、努力を続けることは必ず結果につながる、努力は裏切らないということを先生は教えてくれたように思います。それは将来医師になるという目標を持って、地道に勉学に励んでいくこと、そして、医師になった後も日々謙虚な気持ちを忘れずに努力を継続していくという自分のスタンスにもつながっているように思います。
 それから決して忘れることができない「東日本大震災」は自分の人生とって大きなターニングポイントになったと思います。2011年3月末で長らく勤めた大学を退職する直前の出来事でした。誰もが予測していなかった原発事故が起こり、自分達も被災者でありながら、見えない放射能の恐怖と戦い、原発避難地域の医療支援を続けました。異動の準備は全くできませんでしたが、医師としての自分を育ててくれた「福島」の地で認知症・高齢者医療に今まで以上に心血を注いでいこうと誓った次第です。

今後の目標

認知症診療は医療の提供だけでは対応しきれません。独居、老老介護、認認介護と、生活基盤が脆弱なために地域で孤立していく患者さんがどんどん増えています。クリニックではこれまで、チームを組んで訪問活動や他の部署との連携を積極的に進めてきました。今後は医療だけにとどまらず、様々な分野のスペシャリストと手を組み、地域のみなさんが笑顔で生活できるような街作りができたらと思っています。

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